社内知財研修のツボ
- Shintaro Onikura
- 2023年9月5日
- 読了時間: 3分
事業を進めていく上で自社の事業領域で突然、他社の特許が発見された。
企業規模の拡大や、事業領域の変更に伴って知財の重要性が増してきた。
他社と事業提携をする際に、相手先から知財の活動状況について尋ねられた。
大抵そんなことがそんなことがきっかけで、知財活動をしてこなかったベンチャーや中小企業の総務・法務担当者は、特許事務所に打診をすることになる。
最初は総務担当・法務担当が頑張って事務所と話していれば良いが、やがて社員のメンバー全体に対する知財意識の底上げの必要性に迫られる時期が来る。
そして、法務担当者は社内のメンバーに以下のようなことを説明しなければならない。
特許って何?
なぜ特許を取得する必要があるのか?
どのようなものが特許になるのか?
コンテンンツ制作時に著作権・商標権・肖像権で留意すべきこと
研修の目的によって話す内容も、対象者も異なる。
特許=開発メンバーとは限らない。
企画を担当するディレクターに聞いてもらう必要性が高いこともある。
場合によってはマーケ担当・広報担当も含まれてくる。
知財活動は一朝一夕ではいかない。
通常は地道に社内で知財活動を進めていき、少しずつ知財の土壌を養う必要がある。
多くの社員になるべく知財の情報に触れてもらう必要がある。
そのための社内研修やセミナーでもある。
知財について何の知識もない初心者が聞き手であることを前提とした上で、
私がセミナーや社内研修を設計する上で特に配慮していることは、以下の3つ。
わかりやすい言葉
内容が面白い
役に立つ
一般人は普通、知財に興味などない。というスタンスが大事。
人間の脳は、自分にとって興味のあることや、有益な情報については認識しやすいようにできている。
だから、まず「わかりやすい言葉」で「面白いこと」で興味を持ってもらい、聞く耳を作ってもらってもらおう。
そこから、「必要性と有用性」を訴える。
例えば著作権の話をする際に、いきなりコップに入った水の話をしたりする。

多いか少ないかは、見る人の状況や心理状況によって変わる。
著作権も、「似てる・似てない」「パクった・パクってない」ということはその人がどう思うかということが重要だったりする。法律とか抜きにして。
だからこそ、コンテンツを作る際は相手に嫌な思いをさせないようにする意識が大事。
という非常にシンプルなメッセージ。
ちょっと精神論のようだが、心がけや意識を示した上で、あとは社内で仕組みを構築していけば良い。
良い家は、良い土壌の上に立つものだ。
特許であればなるべくビジュアルで直感的に理解できるように工夫する。

社内の意識を高めるには法律の話よりもわかりやすい話が重要だ。
もちろん、法的リスクにも触れる必要はある。
要は話の順番が大事ということだ。
最後に「役に立つ」という点について。
これが一番難しいのだが、誰にとっても役に立つ話というのはなかなかない。
だから、内容を抽象化する。
特許のリスクの話だけでなく、特許的な思考で脳力UP!と題して、特許明細書を書く際に必要な具体と抽象の思考力を例題にする。
商標のリスクの話をするだけでなく、商標のブランド力というのは商標自体にあるのではなくそれを観察する人間の頭の中にあるから、ロゴのデザインだけでなく人の認識を変えるような情報発信をするなどなど、、、
以上、知財についての社内啓蒙についてまとめてみた。
知財というものは目に見えないもの。
だからこそ、可能性もあるし、まだまだできることはある。
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